ハロウィンという一億総コスプレ文化について
トリックオアトリート!
この言葉の意味を知っている方は何人くらいるのでしょうか、、、
ぼくもよく知りません。
google先生に聞いてみましょう。
「トリックオアトリート 意味」
お、アンサーボックスに答えが出てきますね。
どれどれ。
なるほど。
お菓子くれなきゃいたずらするぞと。
まー、知らんがなってイベントですよね。
ほんとよく意味が分からん。
でもここ数年でバレンタインを超える市場に成長したそうで。
確かに100円からのチョコなりお菓子を買うより、衣装とかコスプレ買った方が単価が高いですもんね。お菓子も売れますしね。
バレンタインならよっぽどのネタ告白じゃない限り仮装しないですもんね。
本心ではこんなイベントなんで全国各地(特に渋谷はメッカ!)で開催されてるんだろうとか思いつつ、
現代日本のオタク文化を一般化したイベントになってるんじゃないかなぁとか思うわけです。
何かしら、コンテンツだの製品に対して、ユーザーの重みというものが存在します。
ヘビーユーザー、ミドルユーザー、ライトユーザーといったように。
ハロウィンの「仮装」というものを「コスプレ」とほぼ同義に捉えていいのであれば、
「コスプレ」というオタク文化がライトユーザーまで降りてきたのが「ハロウィン」なんじゃなかろうかと思うわけです。
そもそも考えてみてください。
80年代、90年代にアニメ世界を愛し、コンテンツのマーチャンダイジングに貢献し、さらにはないものは自分たちで作るという、同人という世界を作り上げた方々に対して、一般的な大人達はどんな目を向けたかと。
「オタク」「キモい」「ヒく」「勝手にやってろ」「理解できない」「ちゃんと生きて!」「もう大人なのに恥ずかしい」
だったはずです。
時代は変わりました。オタク文化への見方が変わったのは、ぼくは勝手に『電車男』(2005)からなんじゃなかろうかと考えているのですが、
この2005年という年、何がありましたか?
正解です。AKB48というアイドルグループが秋葉原で産声をあげましたね。
彼女達っは劇場公演という世界観を作り出し、コアなファンを増やし、次第に勢力を拡大していきました。
もう、「おっさんにはいまのモー娘。何人いるかわかんないよー」の時代じゃございません。
ぼくだっていまAKBグループに何人いるかわかりません。いまじゃそれほどでかいグループになりました。
そして2009年からテレビ出演が増えだし、2010~2013年この4年間はAKBは確実にメディアの中心でした。
「巨人 大鵬 卵焼き」と同格です。
ぼくのなかで当時2011年のAKB神7と呼ばれる方々は、2000年の巨人打線と同格の気持ちよさです。
観ていて最強、清々しい!という気持ちになります。
アイドル好きって言うのは、プロ野球の球団好きと変わんないというのがぼくの持論なんですけどいかがですかね?
それは置いておいて、つまりAKBは、ユーザーで言ったらヘビーユーザーから、ハイパーライトユーザーまで虜にしたのです。
東京ドーム公演まで行えるようになったAKB。みなさんどんな格好で行きますか?
そうですね、正解です。AKBの公式グッズなり、さらには楽曲の衣装を手作りしていきますよね。
さて、2011年。もうひとつのアイドルグループがアイドル戦国時代に火をつけました。
正解です。すごいですね。「ももいろクローバーZ」です。
何人いるかわからない先人達に対して、わかりやすく人数は5名。
それぞれキャラが立ち、バラエティもお手のもの。
プロレスなどいろんなサブカルチャーとのコラボを得意とし、いわゆる「モモノフ」という人種が生まれました。
ももクロの凄いところは、AKBファンの先駆者となったオタク気質のある大きいお友達をヘビーユーザーとしたのではなく、
40代のおともだちをヘビーユーザーにし、女性ファンをヘビーからミドルユーザーに仕上げたことです。
みんな何でライブに行きますか?正解です。赤黄ピンク緑紫もしくは黒のキャップを被り、Tシャツの上に法被を羽織りますね。
女性陣は、楽曲の衣装を手作りしていきますよね。
つまり、好きなアイドルグループのライブに行く格好はコスプレなんです。
では、今まではどうか。
アイドルの先駆け、ネットの他メディアには絶対顔を映せない某有名男性アイドル事務所がありますが、みんな、内輪に漢字1文字なり、名前が書かれ、きらきら装飾された内輪を持って黄色い声援を飛ばしてライブに参加したはず。
これ、やってることは同じようでも意味合いは全く違うんです。
先駆者は「絶対的なファン」として「応援」しに、後者は「サポーター」として「参加」しに行ってるのです。
言葉でもわかるように、
「誰のファン?」「うーん・・・翔くん!」が、「誰推し?」「しおりん!」(即答)
に変わりました。つまりライブに足を運ぶ方は、ライブをイベントとして、「コスプレ」した上でその会場のグルーヴ感を味わいに行っているのです。
グルーヴ感という意味では、最近のDJ文化にも通ずるところがあると思いますが。
ただぼくの個人的な感想では、クラブはオシャンティなファッション男女(昔の言葉を使えば、モボ・モガ)がナンパ、ワンチャンというサスペンスを含めた一晩のドラマを同時に求めて行くところだと思ってるので、純粋にCAPSULEのコンテンツを楽しみに行ってるのか?という疑問から心から楽しめません・・・
ともあれ、そういったアイドル戦国時代を経て、「コスプレ」は天下太平の時代を迎えました。
ざっくり言えば、コスプレ層が広がったんです。
今も「コスプレイヤー」と呼ばれ、年に二回の大きいビッグサイトのお祭りや、「撮影会」と呼ばれる定期的な武闘大会で技に磨きをかける武術家たちもいますが、
ユーザーの重みで“士農工商”が「コスプレ」界で生まれたのです。
武士からヘビーユーザーとするならば、全国で一番多い農民たち、つまりミドルユーザー、ライトユーザー達がコスプレという文化を受け入れました。
つまり、一億総コスプレ時代の幕開けです。
そう言った意味で、今年2015年は「ハロウィン元年」と名付けてもいいと思います。
(『アバター』が公開された2010年に生まれた「3D元年」という言葉がいまどこにも見当たらないので、ここから数年はどうなるかわかりませんが)
さて、これにはもうひとつ要因があります。みなさま御馴染み、「そーしゃるねっとわーくさーびす」の誕生です。
略して「SNS」と呼ぶそうです。
さきほど、2005年に「コスプレイヤー」たちがかけられていた言葉を10年後のいま、こうした歴史的背景とSNSの誕生というファクターを絡めて言い換えてみましょう。
「オタク」 → 「マニアック!」いいね!
「キモい」 → 「気持ち良さそう!」いいね!
「ヒく」 → 「攻めてるね!」いいね!
「勝手にやってろ!」 → 「参加したかった!」いいね!
「理解できない」 → 「よくわからなけど何か楽しそう!」いいね!
「ちゃんと生きて!」 → 「ちゃんと生きてる!Life is good!!」いいね!
「もう大人なのに恥ずかしい」 → 「遊び心を忘れない大人、素敵!」いいね!
なんですかこれは。手のひらじゃ足りない面積のものがひっくり返りましたよ。
「何者かになりたい」「ありのまま生きたい」という0年代からの日本人が患っている「本当の自分病」の症例ですよこれは。
そして同じコミュニティの開けたところで相手をとにかく肯定するというSNSが輪をかけたリアクション。
(LINEいじめって、SNSの弊害と言われているけど、もともと悪いのは、Facebookとかの「開いた」SNSからグループLINEという「閉じた」SNSへの移行において起こるべき、結局日本の村社会という国民性だと思うんだけどなあ。)
あ、ぼくはこの文化を否定してるわけじゃないんです。
その日渋谷を人混みに隠れながら歩けば、その日しか着ないであろうかわいい衣装で女の子が歩いてるし、そうきたか!というネタのコスプレも見れて楽しいし。
ただね。
話を一番最初に戻すと。
みんな「トリックオアトリート」って言ってる?って話なんですよ。
コスプレから火がついた文化でも、やっぱイベントの本質は失っちゃいかんですよ。
もともと、子供が「おかしくれ」って大人にせびるイベントなんでしょ。
一年にこの日だけ、普段はパパやママが買ってくれないお菓子を無償で近所からもらえるという子供なんですよ。
日本は今や。ハロウィンから「コスプレ」という形だけ抜き取って、本質的なものを失っている。
しかも、どう考えても幼稚園で子供が御遊戯でハロウィンするより力を入れてる。
子供が大人にお菓子をせびる。
日本は大人がハロウィンにやる気を見せている。
ということで、今年は間に合わないので、来年から日本では、
いい年こいた大人が、年金たっぷりもらってそうなご老人からお金をせびるイベントにしましょう。
保険料の9割はぼくらが負担してるわけだし、年金だってぼくらのほうがもらえないのわかってて毎月そんなに文句も言わずに納めてるわけだし、
一年に一回くらい、ひとり1000円くらいくれたっていいじゃない!!!
と、思うのはぼくだけでしょうか。
お金くれなきゃ、いたずらするぞ。
って。
- この人はくれるひとだけど、この格好ならもらえるかもしれない。