『世界はボクのもの』に2016年のマンガ大賞あげちゃう。
最近いいマンガある?と聞かれても、うーん…だった僕。
まあジャンプは毎週読んでるけど、『鬼滅の刃』とか個人的な好みだし、超暗い感じで王道ジャンプじゃないしなぁとか思ってジャンプ読者にしか勧められなかったしなあ。とか。
そんななか、最近結構誰にでも勧めたい、読んでもらいたいマンガに出会いました!
それは、
『世界はボクのもの』
作品詳細『世界はボクのもの』 | ビッグコミックスピリッツ公式サイト -スピネット-
『デトロイト・メタル・シティ』、『みんな!エスパーだよ!』で知られる若杉公徳先生の最新作。
まずはあらすじ。
主人公、砂原世界はアイドル「マジかよ少女隊」を愛するアイドルオタク。
ある日、マジかよ少女隊の中の推しメンが通っているという噂のボクシングジムに通うことになる。
そこでトレーナーの女の子に繰り出すのは脇もしめていないひょろひょろのパンチ。
しかしそこでマジかよ少女隊の音楽がかかり、アイドルに会えるかも!という興奮で力強いパンチを急に繰り出す。最終的にはトレーナーの女の子が構えるミットが吹っ飛ぶ。
というのが第一話まで。
ざっくりですが。
ここでのサスペンスに注目。
いままでありがちだった、ステレオタイプの展開から考えてみましょう。
①弱いオタクがボクシングを通じてめっちゃ強くなる。→好きな子ができてその子と関係のある男をボクシングで倒す。
②弱いオタクには潜在的なボクシングの才能が隠されていて、その才能を開花する。
この二択ですよね。
違うんです。
オタク=弱いという超記号的なステレオタイプ展開でもなく、
ボクシングやってみたら強くなったという少年ジャンプ的なセカイ系の王道マンガでもなく。
世界がこれからボクシングとどう向き合っていくか。
これがこの物語のテーマになりながら物語は進行していきます。
まあ一つだけネタバレしてしまうと、世界はボクシングめっちゃ強いんです。
これはググッてあらすじ読めば出てくるんでいいと思うんですけど。
それをネタバレした状態でも、この作品は面白い。
なぜなら、強いことが2話まで読めば誰でもわかると思うんですけど、
「実はめっちゃ強いんでしょ?」という前情報が読者にとってわかっていても、
物語をめっちゃニヤニヤしながら読める。
因みに世界はボクシングをする気はまったくなく、実家のボクシングジムのおばあちゃんに小さいころ超スパルタ教育をされてきたっていう設定なんですけど。
だから面白いのは、世界にボクシングをさせて世界チャンピオンになってほしい人とか出てくるわけですよ。あと、その実力を見せていく中で、相手になったボクサーなど、(めっちゃボコられるんですけど)ライバルが勝手に増えていく。
悟空が強い奴と戦いてえ!と言って、ピッコロ、ベジータと出会うのではなく、
スタンド使いは惹かれ合う的な感じなのか、世界は戦いたくないけどライバルが増えていく。
しかもみんなサイヤジンかよと言わんばかりに好戦的。
そして家族、オタク友達、アイドル目当てに行ったジムの会長など様々な人がうずまきあい、世界が成長していく話です。
これは主人公が世界チャンピオンを目指す話でも、因縁の相手をボクシングで倒す話でも何でもなく、
いわばホームドラマコメディです。
もう、何も考えずに読めちゃう。何も考えずに笑えちゃう。
とても素敵なマンガです。
かといって、日常系のほほんではなく、ストーリーごとに世界にとって乗り越えなきゃいけない壁、というかミッションが提示される。
もうほんとおすすめです。
あと大塚という街に行ったことのある人は、「あ、あそこだ!」ってなるかも。
世界の実家のボクシングジムのモデルは、大塚の角海老ボクシングジムですからね。
もう、まんまそのものです。
ここね。
そんなどこにでもいそうな少年の、ちょっと稀有な悩み、能力をテーマにしてマンガを描くのが若杉先生の巧みさ。
実写化、するんでしょうね!
これはデトロイトよりエスパーより万人受けして良さそうなコンテンツです。
そして大塚角海老ボクシングジムで是非ロケをしてほしいです。
今後の展開も楽しみな一作!
まずはこのマンガがすごい!か、マンガ大賞ノミネートしてほしい!