ゲタバコ.

下駄箱とは、靴などの履物を収納するための家具。 銭湯など大衆が集う場所では「下足番」と呼ばれる履物の管理人を置くことがある。 ゲタバコとは、映画などのコンテンツを紹介するためのサイト。 インターネット上など大衆が集う場所で「下足番」と呼ばれるブログの管理人が置かれている。

原節子さん追悼として東京物語を観よう。

原節子さんが亡くなりました。

と言っても、映画好きの人ではない限り若い人にとっては誰かもわからないはず。

 

というわけでまずは人物紹介から。

 

原節子 - Wikipedia

 

はい。ここに全て書いてありましたね。

ぼくがすごいと思うのは、戦前から日本映画界にいるということ。

そして、『ハワイ・マレー沖海戦』など戦意高揚映画、つまり大日本帝国のプロパガンダに若い頃出演しているということ。

その時代であれば当然のことなんでしょうけど、顧みるぼくら後の時代の人から考えると、すげーことだと思うんですよね。

だってその時代的にも、流行的にもその時代の日本を知り、その国の女を表現して来た方ですよ。

 

ちなみに、なんの番組だったかは忘れましたが、戦後すぐに撮られたフィルムがあるという話題で、

カラーで原節子さんが映っている映像をテレビで流していて。

それ撮ったのが記録映画として木下恵介監督が撮ったとのことだったんですけど。

 

もうこれ、歴史レベルですよ。

ぼくは世界史ないし日本史の教育に疑問を持っていて、

中学からでももっと鎌倉時代の年表とか省いて戦後日本を教えるべきだと考えてます。

 

だって、聖徳太子だの、卑弥呼だの、本当にいたのかっていう。

そして彼らは今の日本を考える上でどう画期的だったのかっていう。

 

本当に実在したかどうかもわからん人物や政策を勉強するくらいなら、というかそんなこと内容もろくにこどもにうまく教えられないのに年号や名前を暗記させてくその役にも立たせないくらいだったら、今に近い確実なものを教えた方がいいと思うから。

 

二毛作の農具とか覚えるより、トラクター、耕耘機覚えてる方が偉いですよ。

リアルで何かもよく理解できない人形浄瑠璃知ってるより、プリンプリン物語知ってる方が役に立ちますよ。

 

そういう意味で、縄文から全部の歴史を同じくらい教えるんじゃなくて、明治、大正、そして昭和を濃く教えて欲しい。

その点、昭和の文化が平成にどう繋がってるか教えてほし…かったなぁ。なんて思います。

昭和というのは1945年の8月15日までではなくて、ちゃんとバブル崩壊まで。

 

前触れが長くなりましたが、そう。

東京物語』を観ようというお話です。 

東京物語 ニューデジタルリマスター

東京物語 ニューデジタルリマスター

 

 

この作品は日本人が教養として観たことないと恥ずかしいくらいのレベルで全国民観るべきだと思う。

帝国主義的な話じゃないけど、お国はこの映画を教科書くらいにだったら組み込んでいいと思う。

だって海外からも、2010年にイギリスで史上最高の外国語映画に、2012年にも「映画監督が選ぶベストテン」にも選ばれてんですよ。

 

では、そこまでいうぼくがどうこのコンテンツを勧めるか。

 

正直、うまくおすすめできません。

若い頃の原節子さんがかわいいとか、笠智衆さんの台詞のしゃべりかたが独特でモノマネしたくなるとか、そういうんじゃなくて。

 

ぼくがいつもお勧めしているのが、味わえばこれがうまいんや!と語れるコンテンツだとしたら、

この作品は米です。それもめちゃくちゃうまい白米。

 

アクションとかコメディとか観るときの、濃厚系ラーメン食いにいこうとか考えちゃダメです。

ただただ可愛い女優が出てれば二時間観れるみたいな、ファストフードを観る感覚でもダメです。

 

ご飯のおともなしに白米を食べる感覚で観てください。

そして、これがいまの日本映画の祖、つまり食卓の主食として中心にいるものとして、理解してほしいなあと思います。

 

ストーリーで映画を追っちゃダメ。女優俳優で画を観ちゃダメ。

とことん、1カット、1カット、映像で何を伝えてるのか考えながらみてください。

それは、ご飯を一粒一粒、味わって食べるのと一緒です。

 

かの有名な山田おじいちゃんと一回だけこの映画について話す機会があったのですが、

僕が聞かれたのは、「1カット目で何が分かりますか?」でした。

 

そんな風に映画を観てなかったぼくは、目から鱗、というか何を答えていいかも分かりませんでしたが、

作り手からしたら映画の1カット目に何を観客に見せるかということを考えなきゃいけないとのこと。

 

そしてこの映画をそういう風にしてみると、なぜこのコンテンツが日本名作といわれ続けているのかが分かると思います。

わからないまでも、雰囲気で、画で映画を観るという考え方は何となく感じられるはず。

 

いろんな映画監督や批評家の方がこのコンテンツについては60年間いろんなことを書いていらっしゃるので、ぼくは今更内容について語ることはありません。

ただひとつ言えるのは、映画という芸術ないしメディアの新しい、いえ古いですがいまの観客からしたら本当に新しい映画の見方を教えてくれるはず。

そんなコンテンツだと思います。