荒くれ者の人情喜劇『トラック野郎』を観るなら今!
最近、寝る間も惜しんでみている映画シリーズがあります。
STARWARSではありません。007でもありません。
正解です。
『トラック野郎』です。
最初、マツコ有吉の新3大でも紹介されたし有名シリーズだし、自称にわか映画好きとして一本くらい見とくかぁと思ったや否や。
一昨日からdTVで見て今日で7本目ですよ。
いやすごいのなんのこの映画、ハイパー偉そうに言うと、本当に脚本がよく出来てる!
もう、息つく暇もありません。今の時代には絶対と言い切っていいほどありえないエンタメのスピード感、そして質。
この年までこれを見ずにひぱってきたなんて自分に喝を入れたい。
なんて死ねフィルぽいことをほざきたくなる気持ちになるほど後悔なう。
山田おじいちゃんと森崎大先生が作った寅さんが庶民の人情喜劇であるならば、
これは不良の人情喜劇ですよ。エピソードの重量がビーバップよりちゃんと重いし、暗すぎもしないし、ちょうどいい。
このちょうどいいという表現、なんだよそんなよくないのかと聞こえるかもですが、僕にとってみたら最高の感想。
なぜなら、映画というメディアは見る人の感受性によって名作も駄作も決まってしまうからです。
つまり、その日恋人にフラれた人がよろっと寄った映画館で流れた失恋映画はYahoo!レビューが星1.3でも、感動の超大作に成り得るし、
もう人生疲れて最後に映画見ようという人がギャラクシー街道観たら、人生の再起を決める一本になるかもしれない。
でも、そういう作品て極端なんです。
基本的に映画はテレビと違って、足を運んでお金を払って観に行くので、観る人は能動的なんです。
ただ、レンタルや動画配信でいつもの自宅という変わらぬ日常の環境であればあるほど、受動的になって観てしまう。
かくいうぼくも前述した通り、結構適当な気持ちで見始めました。
え?そんな態度、鑑賞者としてちゃんと映画に向き合ってない?死ねフィルの皆様すいません。
とどのつまり、そういう気持ちのときにいくら名作でも、暗いというか、もう人間の闇を描ききったようなフルコースとかお腹いたいわけですよ。
こっちは小腹を満たしに深夜のラーメン食いに来てるのに。
昨晩はリリィシュシュとかは絶対観れませんでしたね。
で、そんな気持ちのにわか野郎をトラック野郎は虜にしたわけです。そういう意味でのちょうどいいってこと。
ネタバレ含みますが、もうほぼ40年前の映画なのでバレもクソもないと思いますので僕の考える本作の魅力をおつたえします。
1 菅原文太演じる星桃次郎 ソープ好きだけど超奥手
このコンテンツの序盤は、星桃次郎だけで面白い。
もう我が物顔でソープ(当時トルコ風呂)で豪遊するんですけど、好きになったヒロインに対しては、ハイパー奥手。
一番星が好きになった瞬間、ヒロインの周りにキラキラ星が輝きだすという現代の少女漫画もびっくりなこの演出ですが、この映画なら許せちゃう。
ちなみにヒロインが出てくるタイミングも超秀逸。
一番星(星桃次郎)とやもめのジョナサン(愛川欽也)が催してうんこするタイミングで必ず出会う。っていう。
うんこしたいのに好きな人の前でかっこつけなきゃいけない。このコメディセンスは秀逸すぎますよ。
2 やもめのジョナサン超いい奴
あとなんと言っても欠かせないのは愛川欽也演じるやもめのジョナサン。
僕がこの映画の好きなとこは、告白シーンなんですけど、毎回脇役が超かっこわるく告白するんですよ。
ヒロインにじゃないんですよ。
一番星が奥手だからジョナサンもしくは脇役に代わりに想いを伝えてくれと頼むんですけど、間違えて他の女に伝えてしまうんですね。
何故かその女は一番星を好きになってしまって、物語中盤で一番星が自分のことではなくヒロインが好きだった、誤解だったと気付くんです。
で、毎シリーズ限定で脇役で出てくるキャラが振られた女を好きになって告白するんです。
それがですね、超かっこわるいんです。でも、すげー泣ける。
そのとき、キーになるのがやもめのジョナサン。彼の懐の深さ、言葉の厚みがすごい。本当に優しく響くんです。
この、一番星とジョナサンのバランスが本当にいいんです。
これは僕のかってな妄想なんですけど、ジョジョ4部に出てくる億泰のルーツはやもめのジョナサンです。
ジョナサンのトラックに貼ってある¥マークとかその雰囲気が億泰そっくりなんです。
3 一番星に勝負を挑むライバル
毎回、ライバルが登場します。一番有名なのは田中邦衛演じるボルサリーノ。
みなさんごぞんじ、ONE PIECEの黄猿ですね。体から光を出す以外はマジでそのまんまボルサリーノです。
彼は警察官時代のジョナサンに一度取り締まられ、それを恨みジョナサンに勝負を挑みます。
もちろんトラック野郎の勝負と言えば、トラックレースです。
速いのかどうかわからないスピードで、狭い道を二台のトラックが並走してゴールを目指します。
正直このシーン、もっと速く迫力ある感じで撮れたんじゃないかと思うんですが、それを運転する菅原親分、ボルサリーノの鬼気迫る表情から過酷さが伝わってきます。
このシーン必見とは言いませんが、大事なのは勝負の幕が降りた後。
勝ち負けを決めるシーンで一番星、ジョナサン、ライバルの人間性、トラック野郎としての男が見えるんです。
さあ、あと4日間dTVで観放題!『トラック野郎』で秋の夜長を走り抜けましょう!
このあたりの東映の映画ポスターは本当にいい味出してますよね。
映画。ではなく、思いっきり、映画!って感じがする。