日本の面白い喜劇映画監督の名前には、漢数字が入ってるの法則。8
さあ、喜劇の映画監督名に数字が入っているというYahoo!ニュースもびっくりなこの気づき、ちょっと間が空きましたが、本日は8です。
8でご紹介するのはお一人のみ。
取り上げようと思っていたら、NHKのクローズアップ現代で先日特集されていたことを知りました。
シリーズ戦後70年 若者たちへ ~映画監督・岡本喜八のメッセージ~
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3724_all.html
そう、岡本喜八監督です。
この方、戦後エンタメの旗手と言ってもいいのではないでしょうか、とにかく、ストーリーが面白いんですよ。
兵士として戦争を体験し、突然徴兵されたもんで、元々いた軍部の一等兵以上に頭が上がらない二等兵。
戦地では、絶対生き残って帰ってこれを映画にしてやると思ったそうです。
その想いから作ったのが、『独立愚連隊』
この映画は、サスペンスから始まります。大久保という見習士官はなぜ死んだのかっていう。
それを突き止めに中国で好き放題やってる小隊を訪れる荒木と名乗る従軍記者。
そこから物語が始まります。
公開当初、この映画は好戦的、反中国的と批判されたそうで、この仇討ちの物語に観客は入場料を払ったとまで言われました。
ぼくは、その通りじゃんて思いました。あ、いい意味で。
戦地で体験し、ただただその体験をこめた映画を生き残って作るというモチベーションで戦争を生き抜いた男が作った戦争エンタメ映画。
これ以上に、映画を作る動機と作った作品について、尊い想いがあるんだろうかと思う。
そして、戦後に生まれて、監督の没後に観たぼくでも心から面白いエンタメ映画として観れる。
こういう作品が、歴史的背景、監督の人間性、作品性含めて「名作」と呼ばれる映画なんだなあと思います。
だって今の戦争映画ってほとんどが「戦争はよくない」「戦争はダメだ」と戦争の悲惨さを提示したものばかりでしょ。
岡本喜八はそうではなく、戦争という環境の中でも、人間として卑劣な者を悪、それを露呈させ、取り締まる者を正義として描きます。
しかし岡本喜八の全戦争映画がそういうわけではなくて、社会性を強めた作品もあります。
それが、『日本の一番長い日』
戦犯を決める、東京裁判を描いた作品です。上映時間は、157分。上映はインターバルを入れ、約4時間をかけて描かれた作品です。
岡本喜八はこの作品を撮り終えたあと、こう思ったそうです。
「本当の庶民、いくら努力しても一等兵にもならないような、そういう人たちがみんな死んでいった。そこをやっぱり一番描きたかったのでは。」
その想いで翌年作られたのが、『肉弾』
人間魚雷になって相手に特攻する青年の、特攻するまでの物語です。
が、物語は終盤、大どんでん返しが起こります。
もうこの大どんでん返し、ふざけてるとしか思えないハイパーコメディです。
岡本喜八の映画を、喜劇として捉えられるのは、
「映画は面白くなくてはダメだ」
という情熱が戦争映画であってもビンビンに伝わってくるからだと思います。
この映画、岡本喜八のなかで一番好きです。
戦後70年。今年の夏、メディアではそんなに盛り上がると言ったら語弊がありますが、そんなに戦争に対して社会現象になるほどメディアで話題になった気がしません。
たとえばSEALDsという人たちが国会前で安保デモをしたり、その様子が報道されたことはありましたが、戦争に対しての新しい見方だったり、新しい概念が浸透したとも思えない。なぜなら、「過去の産物」としてなんとなく処理されてしまっているから。
しかしながら、中国が勝戦国として中国国内の歴史の授業では認識されていることとか、ぼくら日本人はちゃんと知らない。
なぜなら、文科省の教科書に載ってないから。
だからこそ、こうしたコンテンツでいろんな人から観た戦争というものの認識を多角的に捉えなきゃいけない。そう思います。
さらに実際に戦場で戦争体験した監督ってもういないんですよ。
大林宣彦だって、山田洋次だって、森崎東だって戦中は子供だった。
もちろんこの三人の作品は戦争の影響をとても受けていたりするのですが、描き方としてはやはりNO戦争のメッセージ性が強い。
それもそのコンテンツの魅力だとは思いますが、
やはり辛いこと、大変なことこそ、観る人の入り口を広げるために観やすいコメディタッチにして、最後に映画のテーマとともに社会性メッセージをふわっと背景に敷く。
これが戦争コメディとしてできるのは岡本喜八です。
是非今年中にご覧ください。
これも面白いよ。 これも面白いよ。
ザ・高度経済成長期のニッポン!
音楽演出と設定がぶっ飛んでます。
これも戦争のテーマが絡んでる映画。