【週刊ゲタバコ批評 週刊少年ジャンプ11/9号 】あの日の「少年」は何処へいったか。
巻頭 | 磯部磯兵衛〜浮世はつらいよ〜 |
1 | ONE PIECE |
2 | 僕のヒーローアカデミア |
3 | 暗殺教室 |
4 | 食戟のソーマ |
5 | ブラッククローバー |
6 | 左門くんはサモナー |
7 | 斉木楠雄の屮難 |
8 | ハイキュー!!(センターカラー) |
9 | 銀魂 |
10 | 火ノ丸相撲 |
11 | こちら葛飾区亀有公園前派出所 |
12 | 背すじをピン!と〜鹿高競技ダンス部へようこそ〜 |
13 | ものの歩 |
14 | トリコ |
15 | ニセコイ |
16 | ワールドトリガー |
17 | BLEACH |
18 | カガミガミ |
19 | ベストブルー |
週刊少年誌の売上トップに君臨する週刊少年ジャンプ。
今週から東京の発売日、月曜日に毎週その順位と批評なるものを書いていきたいと思います。
まずゲタバコのジャンプに対する前提所見から。
まあね、つまんなくなりましたよ(笑)
ドラゴンボールを連載していた黄金期は日本マンガ史に残るハイパーキラーコンテンツだったので置いておくとして、
2000年代前半はまだ『ONE PIECE』『NARUTO』『BLEACH』『アイシールド21』が絶好調でジャンプの4大柱なんて言われてたりして、中堅連載陣も今のメイン連載陣くらいの面白さはあったはず。『DEATH NOTE』『銀魂』とかも新連載として君臨してたし。あ、松井先生の『魔人探偵脳噛ネウロ』も始まってたりして。
でも、いまはメインですら怪しいかんじ。
というか、ジャンプの新連載で人気出るマンガって、ここ最近テイストがなんだか変わってきたんですよね。
ストレートに、「友情・努力・勝利」を表現しないというか。
読んでいて、毎週続きが気になる何かしらのバトルが本当に少ないんですよ。
今週はそこに焦点を当てまして、批評もかねてジャンプへの要望というか、アンケート書いて懸賞狙いにいくくらいの気持ちで書きます。
さて。まず取り上げるべきは、こちらの2作品。
12 | 背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~ |
16 | ワールドトリガー |
あ、今週のネタバレ含みますよ。
『背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~』は最近始まったばかりなので、まだまだこれからというところもあるのでしょうけど、
『ワールドトリガー』はもう、読む気がしません。買った以上は読んでいるんですけど。
この2つのマンガに共通することはなにか。
それは、
必死さがない。
ということです。
つまり、登場人物が乗り越えるべき壁が、読者にとって結構どうでもいいんです。
一瞬一瞬のピンチ→それをどう脱出するか!?というサスペンスはもちろん垣間見えるんですが、
ストーリー全体を通じて読者が気になるほどの想いが見えない。
『背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~』は文化祭でえりちゃんが過去のトラウマに捕われて会場に来ないというエピソードは素晴らしかったのですが、
今週から大会が始まったというのに、新キャラでライバルが出てきたのに、ワクワク感が0なのはぼくだけなのでしょうか。
それでもこのマンガ、ぼくは勝手に当初10週で打ち切られると思ってたんですけど、もう24週なんですね。
案外人気あるんですよ。でもこれ読むんだったら、この先生の作品としてはこっち読んで欲しいんですけどね。
オナニーマスター黒沢 作者:作画/横田卓馬 原作/伊瀬勝良
http://seiga.nicovideo.jp/comic/6164
もうタイトルから最高ですね。ネットで全話読めますよ。
で、『ワールドトリガー』に至っては、近界民が攻め込んできてからというもの、読みたいと思ったことがないです。すいません。
それでも続いて人気が高いというのは、それぞれの能力と役割を活かしたチームプレー戦略としてのバトルマンガがいままでそんなになかったからなんでしょうか。
それでも『NARUTO』『アイシールド21』はチームプレーマンガとして余裕でこれ超えてたと思うんだけどなあ・・・
あとはキャラクターの魅力。おそらくジャンプの読者層って、かつては小学生から中高生が学校で回し読み、成人しても男だったら何作か押さえてて当たり前だったんでしょうけど、最近は女子読者の割合が編集部で無視できなくなっているんじゃないでしょうか。
女子読者の特性、それはキャラクターに対する異常なほどの愛、です。
いわゆる「ジャンプ内腐女子」の誕生です。
祖は幽白と言われていますが、顕著になったのはホイッスル、そしてアニメイト等のマーチャンダイジングと同時に、このジャンルを確立したのがテニプリ、そして銀魂、さらにいまはハイキュー!!へと続きます。
この方々、グッズにお金を払ってコンテンツの二次商品を消費し、また画がうまいもんだから、二次創作まで自分たちでやっちゃう力がある。
二次商品の消費はマーチャンダイジングを前提としたコンテンツ業界にとっては願ったり叶ったりだし、
さらに二次創作というコンテンツの価値を勝手に高めてくれるんです。
女子方のその動機が承認欲求だったり、現実逃避だったり、刺激ほしさだったり、それは人それぞれですが、
誌面から飛び出した自分の好きな物をリアルな日常生活の隣に置いておきたいってことだと思うんです。
だからキャラクター達の必死さってそんな重要じゃなくて、それよりよりもキャラクターのサイドストーリーだったりとか、日常的な側面を見たいんですよね。
でもですよ、ジャンプを買うミドルユーザー、何作かだけ読んでるライトユーザーの少年達がその欲望をそこまで求めているかというと、ぼくそうでもないと思うんですよ。
フィギュアを買うオタクと呼ばれる人々は別として。
車だったり家だったり、かつてみんなが欲しいものを金出して買う若者は消えて、いまは自分のアイデンティティを確立、表現の為にモノを買う若者、という視点も置いておいて。
(まあそうなるとマイルドヤンキーに『ONE PIECE』がヒットしたようによっぽどの共感がある作品1作だけに集中しますよね。)
要は、「少年」はいま、マンガに何を求めているかということです。
ジャンプがそうだったように、マンガという文化がかつて「マンガ本」と呼ばれ、低俗なギャグの応酬で当時の大人が「子供の読むもの」として捉えたように、
ぼくももう、オールドユーザーになってしまったのかとも思いますが、まあそれでもマンガに求めていることは絶対的にひとつだけで。つまり、
わくわくできるかどうか
でしょ。
そういった意味でブラッククローバーなんかは毎週見せ場つくっ必死にてバトルやり続けてていいと思うんですけど、展開毎回一緒じゃね?と思っちゃうし、
暗殺教室はわくわくはいいんですけどちょっと説教くさいなあと思っちゃうし、
トリコは世界観がなんでもありを通り越してるからもうサスペンスとしてのわくわくはないし、(はじめはよかったんだけどなあ)
火ノ丸相撲もいいんですけど、自分が相撲やったことないから、見開きで繰り出されるその技がどんなかんじですごいのかぶっちゃけわかんないんですよ。すいません。
というわけで、最後になりましたが、必死さ、わくわくを併せ持つマンガ。いまのジャンプには2つだと思います。
ひとつは今週センターカラーの 『ハイキュー!!』
これは腐女子人気も集めながら、ジャンプの王道スポーツマンガの流れを汲んでいて、本当にすげーなと思います。
そしてもうひとつが、『僕のヒーローアカデミア』
まあ、このマンガだけですよ、毎週楽しみにして読めるのは。
とかいって毎週全作品読んじゃうんですけどね。
なにが面白いか。それは来週の批評で。
あ、ジャンプ本誌で来週は巻頭カラー、重大発表があるとのことです。
ちなみに本作、おそらくぼくがジャンプを10数年間買ってきて、最速で『ONE PIECE』を抜いてアンケート一位を獲ったマンガだと思います。
『猛れクソナード!』っていう第8話をキッカケに。
ジャンプ王道をすばらしく受け継いで、現代の空気感を全て取り入れてるなあと思います。
で、重大発表はなんだろうって話ですけど、まあ歌舞伎化、舞台化ではないことを祈りますけど、こっからこのコンテンツがどれだけ売れるか、世間に出て行くかの分岐点でしょうよ。
『僕のヒーローアカデミア』 アニメ化
わくわくしますね!
磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜 1 (ジャンプコミックス)
- 作者: 仲間りょう
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/02/04
- メディア: コミック
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あ、そういえば今週の巻頭カラー磯兵衛、アニメ化&舞台化だそうです。