日本の面白い喜劇映画監督の名前には、漢数字が入ってるの法則。2
こんばんは金曜日になりました。ゲタバコです。
さあ、喜劇の映画監督名に数字が入っているというYahoo!ニュースもびっくりなこの気づき、本日は2です。
早速挙げていきましょう。まずはこの有名なお方。
山田洋次
えっ?山田洋次って、『たそがれ清兵衛』とか『隠し剣 鬼の爪』 とか最近だとヒューマン系の小難しい映画を撮ってる人じゃないの?
というイメージの皆様、それは大きく違います。
山田洋次は、松竹の大船調、つまり家族映画の純粋な系譜を未だに継いでいる、日本唯一無二の存在。
昔は映画監督ひとりひとりに「監督部屋」なる映画監督専用の仕事部屋があったそうで。
でもいまやその監督部屋を持つ映画監督は日本でひとり、山田洋次だけとのことです。
そんな大先生は若き頃どんな映画をお作りになっていたのか。
ザ・喜劇です。
『下町の太陽』で当時の新人女優、倍賞千恵子に作品名を二つ名として定着させ一躍脚光を浴び、
それからクレイジーキャッッツ、ハナ肇を主人公にした「馬鹿シリーズ」を制作し、松竹喜劇を背負って立つ存在に。
それから森崎東と『男はつらいよ』シリーズを立ち上げ、松竹で一番権威ある社員監督としてその名を轟かせ現在84歳でも映画を作り続けているスーパー映画おじいちゃんです。
そんなスーパー映画おじいちゃんの喜劇は、「笑えて泣ける喜劇」、つまり現代の「人情喜劇」というジャンルを確立した作品になっています。
おじいちゃんの喜劇からベストコンテンツを選ぶとしたら。
『喜劇 一発勝負』
1967年制作の映画です。古いですねー 新幹線が開通してまだ3年ですよ。
とにかくこの映画、ハナ肇を観る映画です。
女を買って孕ませ、その子供を置いていって家出した男が何年か降りに実家の呉服屋に帰ってきて、
その家宝やらなんやらを売って温泉を掘り当てようという、なんとも破天荒なお話です。
このあらすじ書いてると、こち亀の両さんのモデルはハナ肇だったんじゃないかって思いますね。
とにかく、この時代のハナ肇はとにかく気持ちがいい!
観てて本当にスカッとします。笑いのセンスが当時のド派手なオーバーなファルスだったりするので、
今観たら、「うわっ、寒くないかこれ・・・」と現代の思春期少年少女であれば感じるかもしれませんが、
成人した青年ならば、一周回って、「おもしれー・・・」となるはず。
もう、若き頃の倍賞千恵子のかわいさに気付き、ハナ肇のキャラクターに愛着がわけばもう、おじいちゃんワールドの虜です。
そしてこの作品、なんといっても脚本がうまさといったらもう。
最後のどんでん返しには、「うめぇーなー、こりゃうめぇーや、山田くん、座布団一枚やろう!」と歌丸が叫ぶはずです。
90分という観やすい上映時間。僕個人的には、いまの映画もだいたい平均これくらいでやってほしいんですよね。
120分かけて何かを語る、何かを演出する、というよりはいまの映画って情報量だけとんでもなく詰め込んでるものが多い気がして。
だからそれだけ尺を食ってしまうという。
おじいちゃんの映画には、そんなもの一切ありません。始めから最後までハイスピードでがんがん飛ばして、最短距離で話をオトします。
この映画、ラストシーンなんて、その髪型なに!?っっていう突っ込み満載の、堺正章と井上順が赤いオープンカー飛ばして国道を走り去るんですけど、
そんな古い時代のストーリーとは思えないほど、色あせず、めっちゃ面白い脚本に仕上がっていると思います。 是非。
あとはなんですかねー、『男はつらいよ』シリーズだったら、新潟出身のぼくとしては、個人的には
『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』ですかね。
シリーズ31作目、83年公開の映画です。
なにかっていうと、当時の万代橋、白山神社、県民会館が出てくるよ!という昭和バブル前ノスタルジックに感動するってところです。
これはあまりにも個人的ではありますが、『男はつらいよ』シリーズは全て面白いので、どれから始まりでも観て欲しいです。
2人目。
深作欣二
えっ、深作欣二って『バトルロワイヤル』で物議をかもした、っていうか『仁義なき戦い』のひと!?
そうです、仁義なき戦いのひとです。やーさん映画を盛り上げた映画親分です。
そんな親分の喜劇は、これです。
『蒲田行進曲』
タイトルは聞いたことあるんじゃないでしょうか。
つかこうへいが脚本で有名な作品ですよね。
蒲田駅の発車メロディはこれになっているそうで。
蒲田っていいながら、京都太秦撮影所で撮っているという作品です。
あらすじは、売れないアクション俳優ヤスと、スター俳優の銀ちゃんのドタバタ人情ドラマなんですが、
映画全体から醸し出すバブル感が本当にやばい。
日本映画が元気がなくなったころだったとはいえ、もう、CGもなんもなく、人海戦術だけで画を盛り上げてる感じはすごいの一言です。
とくにヤスが松坂慶子を連れて田舎に帰るときのおもてなし感。これ名シーンですね。
あと、この映画何と言ってもラストシーンのカタルシス半端ない。
鳥肌びんびん立ちますよ。
ただ。今の時代から観ると、結構まじで演出がダサく見えるかもなんです。
効果音を入れる感じのボケだったり、ボケてワンテンポ置いた後、突っ込む方が「だーっ」って感じで本気で崩れ落ちる感じだったり。
この演出やってるの、今週のテレビだと前者は『仮面ライダーゴースト』、後者は『ドラゴンボール超』だけですもんね。
つまり、いまではわかりやすい子供向けの喜劇演出がふんだんに盛り込まれています。
もう、あんな悪いお兄ちゃん、おじさんがたくさん出てくる映画作ったグラサンが、本当にこれ作ったのか?って思うくらい。
千原ジュニアや陣内孝則やフットボールアワー後藤の、遠回しな、たとえツッコミニケーションの影もなく。
風間杜夫が平田満に容赦なくストレートにつっこみます。ここらへんもしかしたら仁義なきの暴力シーン継いでるかもです。
そんなかんじで笑いのセンスはディスりつつ、この映画喜劇としてなにがすごいかというと、
とにかく勢いと迫力がすごい、ところです。
そしてさっきも言いましたけど、最後、落とすんです。物理的にも、オチ的にも。
そのギャップ。え?さっきまでめっちゃふざけてたよね?なにこの真面目なトーン。えっ、この先どうなるの・・・?
からの、
カタルシス。
ここまで演出にメリハリがついた邦画もなかなかないと思います。
ぼくはこの作品喜劇だと思っていて、(おじいちゃんも日本の喜劇50選に選んでるからそういうことでいいとおもうんですけど)
ただあるひとにとってはヒューマンドラマなのかもしれない、って感じですね。
なんか、生きてる時代が違いすぎて、変なフィルター通さずに、登場人物をしっかりと「キャラクター」として観れるって感じですかね。
はい。と、いうわけで、2のお二人、覚えて頂けましたでしょうか。
おじいちゃん、親分呼ばわりしましたが、日本映画の大巨匠ですね。おふたりとも。
是非、ご覧ください。明日は1と8です。
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ハナ肇が戦車で攻め込んできます。
タイトルの通りの映画です。
実は環境問題を背景に敷いてる社会派、と見せかけなかなかのドタバタ喜劇。
◎深作欣二
お葬式のラストシーン、田中邦衛のリアクションで笑っちゃだめ。